御存知のとおり、JR東京駅は、丸の内口と八重洲口で、全く異なった雰囲気を漂わせています。歴史を感じる重厚なレンガ造りの丸の内口に対して、「東京駅ルネッサンス」がスタートした2006年頃からリニューアルが本格化した八重洲口は、ヤエチカ、グランスタ八重洲、更には、バスターミナルなども組み込まれている東京ミッドタウン八重洲が隣接するなど機能的・近代的な趣で、今も変貌を続けています。
先日、スウェーデンから羽田空港に到着され、そのまま東京駅に移動して新幹線で京都へ向かうという車いすご利用のお客様のおてつだいをしてきました。東海道・山陽新幹線を利用する場合、八重洲中央南口改札から入場することで、各ホームへ上がるためのエレベーターを利用でき、新幹線乗車までの時間と距離を最小化できます。とは言え、幾つか課題もあるので、全体的な状況も含め、順を追ってご説明します。
混雑はしているものの買物や食事のバラエティーが拡充される八重洲口にあって、公共交通機関の使い易さについては、東京駅玄関口とは思えないほど改善余地があるように思えます。改善策の一環として、東京バスターミナル八重洲が東京ミッドタウン八重洲に組み込まれて、雨天でも乗降に不便が生じない路線が増えてきました。とは言え、まだまだ多くの高速バスが発着する八重洲口バス乗降場は、ほんの一部が屋根に覆われているだけで、雨天の際には濡れてしまうことを覚悟せねばなりません。スタッフの心遣いなのか、乗降口付近に傘が用意されています。
タクシー乗降も、ひと苦労が必要です。バス乗降場に続く八重洲中央口辺りにタクシー乗場が設置されていますが、ここも、屋根は有って無いような構造です。せっかく広めのタクシー待機スペースが用意されていても、やってくるタクシーの数は少なく、日中はタクシー待ちの行列が絶えない状況です。
タクシー降車場は八重洲北口前辺りに用意されています。東京駅八重洲口の眼の前を通っている外堀通りから、たくさんのタクシーがお客様を降ろすために降車場に入ろうとしますが、如何せん、降車場が狭いので、混雑が酷い場合は、待ちきれず外堀通りで降車するお客様を見かけることは日常茶飯事です。ウィルゴのようなリアゲートに車いすリフトを装着している車両だと、停車できたとしても、すぐ後ろに他の車両が停車して車いすリフトを展開できない(降車できない)ことになってしまいます。おまけに、最近は、禁止されているにも関わらず、お客様を待つ車両も散見され、カオス状態に近いと言わざるを得ません。
乗降場所を分離してあることは、決して間違いではないのでしょうが、広いのに車が来ない乗車場所、沢山の車がやって来るのに狭い降車場所、バランスがあまりに悪過ぎるように感じます。タクシー降車場は、一般車乗降場所も組み込まれていますので、慣れないドライバーさんにとっては、このタクシーカオスをくぐり抜けて、更に先にある一般車乗降場所まで辿り着くには、それなりの勇気が必要かもしれません。雨天の場合、タクシーも一般車も、雨を遮るものは何もありません…。
このような劣悪な環境を避けるために、スペースが十分に確保された障害者等用駐車区画が用意されているヤエチカパーキング(旧東京駅八重洲パーキング西駐車場)へお連れしました。この地下2階にある駐車スペース横には、1階の東海道・山陽新幹線各ホームへ車いすのまま移動することができる八重洲中央南口改札の直ぐ側まであがることができるエレベーターが用意されています。エレベーターで1階へあがってエレベーターホールを出て左側に向くと、東海道・山陽新幹線八重洲中央南口改札口が目の前です。
悪天候に苦しむことなく、乗降に苦労することなく、東海道・山陽新幹線へアクセスすることができるこのルートにも、幾つか課題があります。以前は、この障害者等用駐車区画を利用予約することができたのですが、いまは受け付けてくれません。また、車高2.1mを超える車両は、このパーキングに入場することができません。多くのハイルーフ仕様福祉車両が該当してしまうのが残念です。グランスタ東京がオープンした際に拡張されたY区画には、この車高制限はないのですが、入口からY区画までの通路・区画に車高制限が生じています。東京玄関口である東京駅、もう一歩、改善が進んでくれると嬉しいですね。